有機と食への探求
硝酸態窒素について
有機栽培において最も大事なのは、「土づくり」だと考えます。
寺岡有機農場でも、有機にこだわり40年以上が経ちますが、土づくりに関しては日々、
試行錯誤を繰り返して、安心・安全な野菜を作り続けています。
ご存じかと思いますが、有機農業では農薬や化学肥料を使わず(※有機JASで認められたものを除く)、
太陽光や自然の循環機能を最大限に利用して作物を育てます。
有機JASで定められた多くの制約がある中、「土づくり」で大きな役割を担うのが「堆肥」です。
一般的に「良い土」とは微生物がたくさん住み、フカフカしたものが挙げられます。
堆肥に、匂いのない完熟した動物性堆肥を使うことで、土が肥えてフカフカになり、
おまけに虫も寄り付かない「良い土」を作ることができます。
しかし、この動物性堆肥が未完熟だと、土の中にたくさんの窒素分が残ります。
この窒素分は硝酸態窒素という成分に変わり、野菜の中に吸収されます。
多くの植物は硝酸態窒素を好んで吸収しますが、野菜の中に含まれる硝酸態窒素の量が多すぎると、
味に「えぐみ」を感じてしまい、美味しくありません。
また、虫も寄りやすくなる為、品質も落ちてしまいます。
ただ、硝酸態窒素自体は、野菜、植物、水、土、食品などどこにでも存在し、人間の体液中にも存在するありふれた物質で、人体に危険性のあるものではありません。
大事なのは硝酸態窒素の量です。
野菜が吸収できる窒素の種類は、硝酸態窒素、有機態窒素、アンモニア態窒素の三種類がありますが、
土の中に含まれる有機態窒素は、水分量が不足すると、硝酸化成菌による科学的な作用を受けて硝酸態窒素になってしまう為、野菜に吸収される硝酸態窒素の量も増えてしまいます。
安心・安全で美味しい野菜を栽培する為に、私たちは様々な条件を見極め、最適な量を考えなくてはなりません。